17 2015

スティーヴン・キング「IT」読了

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IT-イット- It (1986年)

1985年メイン州デリーと言う町で子供を狙った殺人連続事件が発生。
デリーで多感な少年期を過ごした「はみだしクラブ」(いじめられっこ7人組)は
事件の真相にIT(あれ)の存在を知り戦うことになる。
それから27年後、大人になりデリーから遠く離れたところに暮らす
それぞれの元にマイクと名乗る男から電話が掛かってくる。
「デリーへ戻ってくれ。約束しただろう。戻って来たんだ。」


イメージで「スタンド・バイ・ミー」の怖い程度くらいに思ってましたが…
これが、また「タリスマン」( こちら で感想かいてます)以上に、
( 良い意味で ) 残酷で過酷で不気味で下品で汚らわしくて…
打たれ弱い私は本当に読むのが大変でした。
とにかく長編(全4巻)なので各キャラのおいたちは勿論、デリーと言う街の時代背景が、
回想、日記、記録文書と言った違う文体で、しかも時代が27年前と現在と飛び飛びに
語られていくので、早くITとの対決を読みたい私としては
「う~お~、そんなのは、もうどうでもいいんだよ~!早く先に進めてくれよぉ~」
と心で何遍も叫びながら読みました。
いや、それがキングの作戦だなってことはわかってるんですよ。

でも、勝手に少年時代が前半で語られて、後半に大人になってからの戦いが
描かれるだろうってつもりで、読んでいると、なかなかそのシーンが描かれない。
こ、こ、これは、あの一番印象的な皆で友情を確かめるシーンは、、、
いったい いつ出てくるんだ~って思って読んで行ったら、、、
えぇ?そこーぉ?ってところで描かれてて、、、
やっと仲間のひとりが最初に離脱した理由が語られた日にゃあ、
キング、引っぱってくれたなあって思っちゃいましたよ。
そう言ったモンスターとの戦いの部分ももちろん、そういうグロテスクなものの
オンパレード(ドラキュラや狼男、ミイラ男にラドン!)を引用するのに
ITのキャラクター設計を上手く持って来たなあと感心しました。
キングがそういったモンスターを出したかったんだなあってのはわかりますが、
まさかの「ラブクラフト」までオマージュ捧げているとはなんて欲深い人なんだろうなあ
っと。(←褒めてます!)青春ものにモンスターとラブクラフトをかぶせて
これだけ筋の通った作品を書けるとは…!と驚嘆しました。

まあそう言う意味では、大人の部分よりは子供の部分で
読ませるって感じだったのも意外でした。子供時代の体験が彼等の根っこにあって、
普通は大人になるにつれ、それは淡くなってしまうけれど、
( 物語の中では、最初、彼等は意図的に「IT」によって記憶を消されしまうんだけど )
その時誓った「約束」の元に、戻りたくなくても、あえて戻っていく、
自分の中の正義と友情と信頼に忠実に。なにか信頼という言葉がとても
大事に思えてくるだけでもこの本を読んだ価値があったように思います。

いや、そうだな。「呪われた町」と「タリスマン」を読んだあとだと、
やっぱりキングが「IT」に辿り着くのは必然と言えるのかも。
キングの中の宇宙の設定とか「あ~タリスマン」なんだなあとか
「呪われた町」のセイラムズ・ロットの破滅的な描写はデリーと重なるし、
もしかしたら主人公のビルは「タリスマン」のジャックのように
そうなる運命だった…選ばれた人だったのかもしれないし。
( …ってやっぱり、ここでキングを知らず、まずはデルトロ監督の
「ストレイン」を読んだ私としては、やはり「ストレイン」は大いに
キングの作品に影響を受けているのだと思わざるを得なくなってしまう。 )
「ザ・スタンド」や「タリスマン」にくらべると、結末の高揚感が多少少なめで
郷愁感半端ないんですけど、あれ以外のラストはありませんよね。「タリスマン」の感想に
「ジャックとリチャードが辿った道のりを考えれば屁でもありませんね。」
と書きましたが、あれはまだ「IT」のビルたちに比べれば、ましな方でした。
いや~この分で行くとキングファンの友達に言われた通り…
来年の今頃はキング廃人になってるかも!(笑)
次は「ドラゴンの眼」を読む予定。
これはキングが娘に向けて書いたファンタジーなので、これでひと息つけそうかなあ。ふ~う。
「シャイニング」との関連性は解説でそうだったのか!と思って
2巻を部分的に読み直しました。あの時代あの人は炊事兵やってたんですね。



これでやっと映像版の予告が見られると思ってみましたが…
なんかホントは後半のあれが怖いのにむしろピエロの方が怖いよ!
まあ今だったらあれは映像化しやすいかも。亀のシーンも出して欲しいなあ。

[ダークタワー関連の本]
呪われた町 Salem's Lot (1975年) ← 読了
ザ・スタンド The Stand (1978年) ← 読了
ダーク・タワー 第一巻「ガンスリンガー」 The Gunslinger (1982年) ← 読了
タリスマン The Talisman (1984年) ← 読了
IT-イット- It (1986年) ← 読了
ドラゴンの眼 The Eyes of the Dragon (1987年)
ダーク・タワー 第二巻「運命の三人」 The Drawing of the Three (1987年)
ダーク・タワー 第三巻「荒地」 The Waste Lands (1991年)
不眠症 Insomnia (1994年)
ローズ・マダー Rose Madder (1995年)
デスペレーション Desperation (1996年)
レギュレイターズ The Regulators (1996年)
ダーク・タワー 第四巻「魔道師と水晶球」 Wizard & Glass (1997年)
アトランティスのこころ Hearts in Atlantis (1999年)
エルーリアの修道女 - The Little Sisters of Eluria (1999) 『第四解剖室』に収録
ブラックハウス Black House (2001年)
なにもかもが究極的 Everything's Eventual (2002年)『幸福の25セント硬貨』に収録
ダーク・タワー 第五巻「カーラの狼」 The Wolves of the Calla (2003年)
ダーク・タワー 第六巻「スザンナの歌」 Song of Susannah (2004年)
ダーク・タワー 第七巻「暗黒の塔」 The Dark Tower (2004年)

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スティーヴン・キング    

2 Comments

ちーさん  

ピエロほんとに怖いわ。
昔、テレ東でITを見たの。あのボリュームを無理やり2時間(テレ東はCM多いから実際どのくらい?)面白いはずがない (笑)
調べたらオリジナルは187分(それでも短い気がするけど)
↑の予告が本編より怖くて驚いたー。ピエロの威力や。

2015/12/18 (Fri) 10:09 | EDIT | REPLY |   

マク→ちーさん  

ちーさんへ

たぶんCM抜かすと1時間半くらいになっちゃうんじゃないのかな。
Youtubeで伊集院光がテレ東で見てなぬ?と思ってあとからちゃんとした尺のを見て
全然違う作品だーって動画アップしてたよ。
3時間でも足りないくらいだよねえ。それに別の動画も見たんだけど…
例の最後のITの姿がアニメっぽい特撮で…わざと狙ったのか?
それにしてもっていうチープな感じなのにもびっくり。
そうなると原作以上に怖いピエロに軍配あげたくなっちゃうよね。
いや~しかしやっぱりキングは毒だねえ。(笑)

2015/12/18 (Fri) 11:35 | EDIT | REPLY |   

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