映画

アキレスと亀

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【マクノスケ】
みなさんにいろいろ心配して頂いて本当に感謝しております。具合もだいぶ良くなり、午後からマクタロウと「アキレスと亀」をシネサントムーンへ見に行ってきました。

私が見た北野作品は「HANA-BI」「菊次郎の夏」「BROTHER」の3本だけですが、どれも話しの端々に切なさとおかしさが同居していて良かった印象があるのですが、今回もそれは健在。絵を描くことが何より好きで、絵を描き、いつかそれで成功しようとする主人公真知寿と彼の支えである妻・幸子の生き様をじっくりと描いています。
とは言え、物語の半分くらいまでは、真知寿の幼少時代と青年時代のお話。悲惨な体験を繰り返しながらも、絵一筋の真知寿の姿が丹念に綴られていきます。時には電車をスケッチするために電車を止め、時には新聞配達の途中に配達を忘れてまで絵に没頭する真知寿。妻・幸子と結婚してからは更に絵へのアプローチがヒートアップ!

彼の良き理解者である幸子が彼の手足となり、様々な絵の洋式に挑戦。幸子を演じる樋口可南子の一生懸命な演技が光っています。作中に使われていた絵画は、全て武の書き下ろし。そのあまりの膨大な量に頭が下がりました。絵を描くことしか出来なかった不幸な男が、最後に手に入れた唯一の宝物に救われました。堪えていた涙が流れました。


【マクタロウ】
久しぶりに観る北野武監督作品。
ここ何作かはあまりにも実験的な要素が強そうな作品ばかりだったのでパスしていたのだけど、本作は本来の北野作品らしさを感じたので映画館に足を運んだ。
冒頭、突然アニメーションから始まるので驚くが、ここで「アキレスと亀」のパラドックスを説明してくれるので「なるほど」と素直に感心する。
予告などでは「夫婦愛」を強調しているように感じたが、内容は「真知寿の芸術残酷物語」といった趣である。
子供の頃、他人より画を描くことが好きで、画が上手かった。それを本職に褒められたものだから本人は画家気分。
画のことしか考えられない不器用な生き方。青年から中年と、年を取っても相変わらずの売れない画家。やがては娘の死をきっかけに妻にも逃げられ、自殺を試みるところまで落ちていく。
こう書いていくと陰々滅々とした話のようだが、北野監督独特の語り口は、淡々としていながらも随所に笑いもあり楽しめる。
また、監督がいつもテーマの一つとしている「死」は、いつも主人公真知寿の隣にあり、描写こそ淡々としているものの、確実に彼の人生観を形作る要素となっている。
これまで観てきた北野作品では、主人公自身が自らの落とし前を最後に付けるという印象が強かったが、本作は死ぬことさえもできなかった不器用な真知寿が妻の愛によって救われるというラストである。それは爽やかな余韻を残す。北野武、新境地と言えるのかは疑問だが、本作を撮っていた時点での北野監督の心境のようなものは分かる気がした。

■スキ、だけど。スキ、だから。夢を追いかける夫婦の物語。
監督・脚本:北野武
製作:森昌行、吉田多喜男
撮影:柳島克己
音楽:梶浦由記
美術:磯田典宏
編集・挿入画:北野武 出演・ ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、
麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、 大杉漣、筒井真理子、吉岡澪皇、
徳永えり、大森南朋
製作国:2008年日本映画
上映時間:1時間59分 配給:東京テアトル、オフィス北野




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Comments 4

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umiko

この映画 北野作品の中でももっとも観たい映画なの。
火曜日はレディースディ 行きたいのに予定ばかりが先行して
自由が利かないなぁ。

絶対に得るものがある映画だよね?

  • 2008/09/21 (Sun) 07:36
  • REPLY

onion

体調戻られたようでなにより。無理しないでね! ウチへのコメントは嬉しいですが、余裕のある時で充分です。見てくださっているだけでいいんですからね~!

北野作品は「座頭市」しか見た事ないわたしなんで、多分見に行く事はないだろうと思っていたんですが、今回はわりと素直に撮ったということですね。見たくなりました。

  • 2008/09/21 (Sun) 22:49
  • REPLY

マクノスケ

面白かったです。

>うーさん
不器用な人の映画ですが、絵が好きという感情はなにか訴えるものあり、
それを理解する妻の献身的な姿が、とても魅力的でした。
最後のオチも、素直に心に響きましたよ。
家族についてもしみじみと考えさせられて良かったです。

マクノスケ

有り難う御座いますー!

>onionさん
いや~、大丈夫ー!!無理しない範囲でコメントしてますので~。
気にしないで下さいー。ホントに出来ない時は予期になってますので。(笑)
「座頭市」は見てないので、なんとも言えないのですが、私の見た3本に比べ、
バイオレンス色はなくなっていて、一見普通の映画ですが、やはり「死」を扱った映画でした。
でも、後半の本当は壮絶な人生を、面白可笑しく描いているところが、
最後の最後に泣けるように作ってあって、そこで涙がボタボタ流れてきました。