ゲド戦記1 影との戦い

物語は未だ若く放漫な主人公が魔法学校に入学し、ライバル心から禁じられた呪文を唱え、死の国の影を呼び出してしまい、以降ゲドと影の壮絶な闘いが繰り広げられるわけですが、アースシーという海に過去囲まれた島々を情緒たっぷりに描く筆致もさることながら、ゲドの後見人とも言うべき年老いた魔法使いオジオンの深い愛情と魔法学校で知り合ったカラスノエンドウの友情に涙しました。
また魔法の定義もアースシー世界の古代語(ハード語)で魔法をかける物の名前を正確に唱えなければならないという設定があるのに説得力があったように思います。たとえば「全ての海に荒らしを呼ぼう」とすると、全部の海の名前を呼ばなければならず、よってひとりの魔法使いが使える魔法には限界という物があるという設定になっています。それゆえに個人の名前にも呼び名と真の名があり、自分の真の名を他人に明かすといういうことがどういう事なのか、それにまつわるエピソードにも心打たれるものがありました。
真の名前はもとより、ゲドがハヤブサとなって大空を飛び回るシーン、ゲドの心の支えとなる小動物オタクのヘグの描写、様々な形を取ってゲドの前に現れる影のイメージなど、ついつい宮崎アニメのあのシーン、このシーンが頭をもたげてしまう自分のおたく度が情けないんですが、宮崎さんがいかにこの作品に影響を受けていたかを知る事が出来たのも収穫でした。
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