ALWAYS 三丁目の夕日

【マクノスケ】
マクタロウとマクタロウ母と3人で小田原まで見に行って来ました。
「ジュブナイル」「リターナー」とSF色の強かった山崎監督が「三丁目の夕日」を映画化すると驚いていたのが昨年の12月。確かに今回は、一部(笑)そのようなシーンもありますが、前編ノスタルジックな人情もので、これがかなりイケていて「第二の山田洋次監督ついに現る?」とも思ってしまった程でした。
舞台が昭和30年代ということもあり、山崎監督のVFXの才能は、この時代を違和感なく映画の背景として再現することに成功した事で新たな方向を見いだしたような気がします。それよりも、むしろこの映画のすばらしいところは、群像劇であるそれぞれのキャラクターのエピソードを、感動の押し売りではなく、自然に見せている点です。
ともすれば、臭くなりがちなお話を、嫌みなく、これほど心地よく見せる手腕は、山崎監督の才能なのでしょうか。「リターナー」の時にも、鈴木杏ちゃんがスパゲティを食べるシーンで思わず、ぐっと来てしまったのですが、今回は、あのシーンの連発で、いやはや、何回ボロっと来てしまった事か。中でも小雪と三浦友和のエピソードは、それぞれ深く印象に残りました。
キャラクターは、なんと言っても鈴木オートと六ちゃんでしょう!堤真一がどう見ても京極堂(姑獲鳥の夏)のまんまなんですけど(笑)それでも許せちゃう。ガラス戸のシーンから六ちゃんに謝るシーンまでは可笑しくて大笑いでした。
ラスト、未来に希望を描く一平くん(鈴木オートの息子)のセリフにジ~~~~ンと来て「なるほど~ALWAYS 三丁目の夕日ね~。」と涙のだめ押し。山崎監督、やってくれるなあ!
【マクタロウ】
やっぱり山崎貴監督とは相性が良いらしい。
デビュー作「ジュブナイル」から「リターナー」と時間物SFで来たので、「3作目が正念場かな」などと思っていた。
新作が「三丁目の夕日」と聞いた時は、正直「なんで?」と感じたが、考えてみれば「ジュブナイル」でも「リターナー」でも、素晴らしかったのは登場人物の感情を瑞々しく描いていた部分だ。
どちらかと言えばVFXやアクションばかりが話題になっていたが、「少年の淡い恋」「時間を超えてやってきた少女との交流」などの暖かい人物描写こそ山崎監督の持ち味だったのだ。
そこから考えれば「三丁目の夕日」の監督に山崎氏が選ばれたのは必然かもしれぬ。もちろん昭和33年を再現するVFXだって、その道出身の山崎監督ならば適任だろう。
物語は商店街に巻き起こる細かなエピソードを積み重ねることによって語られていく。
その一つ一つのエピソードがそれぞれに重なり合い、物語を増幅させている点が良い。
特に(脇役であるが)宅間医師の話は、最初こそ「狸にばかされたか?」という笑い話的なオチかと思わせておいて、実は・・・という切ないエピソードとなるのだが、この話があるから終盤、クリスマスのエピソードでの宅間医師が活きてくる。
役者では堤真一(鈴木オート、最高!!)、吉岡秀隆(のされっぷりが素晴らしい)はじめ堀北真希、薬師丸ひろ子、小雪(指輪のシーンは泣けた!!)、主役クラスから脇役まで皆のびのびとしていて気持ちよい。
キャッチコピーで煽っているほど「あのころは良かったね」という切り口の作品ではなく(作っている人達が「あのころ」の人ではないのだから、当然か)人と人とのふれあい、人情などを笑いと涙で綴った佳作だと思う。
ますます山崎監督の今後が楽しみになった。
■携帯もパソコンもTVもなかったのに、どうしてあんなに楽しかったんだろう。
[監][脚]山崎貴
[原]西岸良平
[美]上條安里
[出]吉岡秀隆 堤真一 小雪 堀北真希 三浦友和
もたいまさこ 薬師丸ひろ子 須賀健太 小清水一揮
[制作データ] 2005 東宝 [上映時間] 133分
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